『親』になるために~コモンセンスペアレンティング~ ①道しるべとの出合い
2014.07.30
※紀伊民報「ママパパひろば」(第2・4金曜日)掲載内容を、
「そらまめちゃん」トピックでお知らせします。
「親」になるために ~コモンセンスペアレンティング~
①「道しるべ」との出合い
私は、育児支援NPOの事業運営とスクールカウンセラー業務で、「親と子ども」に携わる仕事をしています。仕事で出会う保護者や子どもたちに加え、自分自身や職場スタッフ、身近な友人などのさまざまな体験から、親と子どもの関係づくりは生涯にわたるものだと感じる毎日です。
自分が「親」になって初めて知ったことは、子どもが誕生したからといってすぐに親になれるわけではないということでした。
少し強調していますが、一人目は五里霧中、二人目は当初順調、三人目ではからずも大パニックに陥りました。一人目での親子関係に二人目、三人目ではそれぞれの子ども同士の関係が加わり、さらにそれに関わる親子関係が影響し、さまざまな事態が起きました。
その時々に身内の助けや専門家(幼稚園や医師)のアドバイス、友人に話を聞いてもらうなどして何とかしのぎました。しかし成長する「子ども」は次々と課題を持ち込み、「親」はそのたびに新たな対応に迫られます。少しは「親」らしくなれたかと思うと、また「親」としてどうする、と突きつけられ、「親」になるのは時間のかかる道のりであり、「親」とは難しい仕事だと思いました。
未熟な私がとりわけ難しいと感じたのは、成長に伴う子どもとのやりとりでした。子どもにしてほしいことがあるとき、あるいはそれだけはしてほしくないことがあるとき、どう伝えるか。子どもにかまわずこちらのタイミングで言って失敗。感情的になり、いらだちを募らせ、時には八つ当たり。そしてますますうまくいかなくなる。
そんな体験から「親」という仕事に役立つ、「親」になる良き道しるべはないものかと思っていたときに出合ったのがいくつかの「親向け(ペアレンティング)プログラム」です。
それぞれに特徴がありますが、親としての関わり方に直結するものの一つとして、「コモンセンスペアレンティング」があります。次回から、このプログラムについて紹介します。
■筆者プロフィル
松本千賀子(まつもと・ちかこ)臨床発達心理士。県スクールカウンセラー。
『ボーイズタウン・コモンセンスペアレンティング』幼児版T・O・T(トレー
ナーオブトレーナー)、『ボーイズタウン・コモンセンスペアレンティング』学
齢期版プログラムマネージャー。