食育レシピ

お弁当の魅力

2008.02.8

わたしが勤めていた頃、保育園では、毎月一回のお弁当の日がありました。毎年、実施していた保護者へのアンケートからも好評でした。
わたしが、お弁当にこだわったのは、いくつかの理由がありました。

1)なんといっても、子どもはお弁当が大好き!
お弁当の日は、昼食が待ちきれなくて、ついつい食事時間が早くなりました。お弁当は、おかあさんが「わたしのためだけに作ってくれたご飯」。これが最大のお弁当の魅力。誇らしげに、お弁当をひろげる子どもの顔。
あるとき、年長の女の子が、ひじきの煮物だけ残していました。「せっかく、おかあさんが作ってくれたのに。」とつい声をかけたところ、「これ、スーパーで買ってきたんやで。」と言われて、言葉に詰まってしまったことがありました。子どもの、親や周りの人間を見る目の厳しさがよく分かりました。

2)お弁当は日本の食文化
限られたスペースに詰め込むわけですから、普段の調理ではあまり深く考えないことも、必然的に工夫しています。食材や栄養のバランス(野菜、肉・魚・卵、海苔、果物など)、彩り、形(切り方)、味付け、並べ方など・・・世界中探しても、こんな食文化は珍しいと思います。
ほとんどのおかあさんは、(最近は冷凍食品も多いようですが)、とりあえず、このときばかりはと工夫してくれます。毎年のアンケートのお弁当の項に、お弁当づくりは楽しいという意見もよくありました。(最も、毎日だと大変ですけどね)

3)工夫しているうちに、自分の子どもの食べられる量、好みなどが形としてよく分かるようになります。特に、食べられる量は、個人差が大きく、小食の子どもの場合なら量が少なくても色々な物を少しずつ入れてあげたらいいですね。お弁当の魅力は、少しずつ色々な物が入っているということですから、開けて卵がある、ウィンナーもある、ふりかけのおにぎりも・・・」と、うれしそうです。わたしは、お弁当は食べ切らなくてもいいと思っていました。残すことによって、何がよくなかったか、考えることができます。

4)普段だと、食後の果物などは、食べさせることができない場合も多いでしょうが、お弁当の日には、ほとんどが持ってきていました。みかん狩りの日のお弁当の果物に、みかんを入れてくるおかあさんも毎年一人二人いました。きっと、忙しくてこの日、どういう状況で食べるのか、考える余裕がなかったんでしょうね。でも、とりあえず果物が入ってるということは、心くばりを感じました。

日常の食事でも、ちょっとした工夫が、子どもの食べ物への関心を高めるということが、お弁当を見ているとよく分かります。毎食、お弁当ということはできませんが、お弁当を作るときの気持ち、心くばりを、少しばかり日常の食事に生かせたら、子どもの食べる意欲につながると思います。栄養への配慮はもちろんですが、まずは、子どもが食べ物に関心、興味を持つことが、大切なのではないでしょうか。
(コノハズクさん/城皆子さん)