食育レシピ

梅干談義

2008.07.31

梅雨が明けたのでそろそろ梅を干そうかと準備しています。梅雨明けは、ほぼ土用の入りにあたり、一年で一番暑い時季の始まりです。
6月に塩漬けした梅をこの時季を待って干すというのは、たいへん理にかなったことで、梅干し作りは季節の流れに添って進行します。

南紀州の地ならではですが、あちこちから「梅いらんか」と声をかけていただきます。無農薬、無消毒の梅を今年も塩漬けしました。塩も潮岬の海水で作ったここならではのものです。梅を取り出した後の薄紅色の梅酢は、紫蘇漬けやサンマのお鮨、かつお梅を作ったりするときに大いに利用します。

先日、外出した際に同行した3人で梅干し談義に花が咲きました。Tさんは「15%の塩で重し無し」、わたしは「18%の塩で重しあり」とか、夜干しするとかしないとか、漬ける前に焼酎で洗うとか、干すときにも焼酎を霧吹きでかけるとか・・・ワイワイと楽しく語り合いました。Tさんの方法もいいかな、なんて来年の梅干し作りに思いを馳せたりしました。

わたしたちが日常何気なく食している食べ物の調理法には、何十年、何百年、何千年という歴史がありますが、色々な試み、挑戦、工夫が多様な食文化を築いてきたんですよね。そしてその担い手はたいていの場合、おばちゃんやおばあちゃんたちであったのではないでしょうか。

縄文時代の遺跡からクッキー(らしきもの)が出てきたそうですが、縄文のおばちゃんたちが、「うちではこうやってるのよ」「クルミも入れてみよう」なんて賑やかに意見交換している光景を想像すると楽しくなりますね。その周りを「まだできないの」と待ちきれない子どもたちが、のぞき込んでいる様子も思い浮かびます。

食の文化を伝えていくということは、人の命を育むための知恵と工夫を伝えていくことであると思います。「作って食べる」ことは、人が人として生きていくための最も基本的なことであり、食育の一環として食べ物の作り方の歴史を知ることもおもしろいかもしれませんね。

わたし達おばちゃんグループで、伝統食品の梅干しや味噌、タクアンなど漬物の作り方の話が出ると、必ずだれ言うとなく「昔の人は、えらかったんやな」という感想が出るものです。梅を塩漬けしたりして、梅酢が上がったら、梅雨明けを待って三日三晩干すと何年も保存できる・・・最初に試みた人ってすごい!
(コノハズクさん/城皆子さん)